健康長寿!体と心をつくる 「やせすぎにご注意!体重維持の食事術」(きょうの健康)
高齢になると、食事量が減ってやせてしまいがちになる。高齢者の調査では、肥満のある人よりやせすぎの人の方が生存率が低いという結果も。骨や筋肉、血管が弱くなったり、免疫の働きが低下したりして、全身状態が悪化するためと考えられる。健康長寿のためには低栄養を防ぐことが大切。予防・改善するための基本は、毎日いろいろな食品を食べること。毎日の食事にさまざまな食品を無理なく取り入れる方法を紹介。
高齢者の低栄養とは?肥満よりも危険な状態
高齢になると、食事量が減って、「低栄養」になりやすくなる。低栄養は、必要なエネルギーや栄養素が不足した状態で、要介護や寝たきりになるリスクが高まり、健康寿命が短くなってしまう。
低栄養は、いわばやせすぎの状態。低栄養かどうかの目安となるのが、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で導き出すBMI
高齢者の場合、BMIが20以下だと低栄養の傾向にある。例えば、身長160cmの人の場合、体重51kg以下だとBMI20以下。
厚生労働省の令和5年国民健康・栄養調査では、高齢者の男性の約12%、女性の約22%がBMI20以下であると報告されている。
高齢者の生存率とBMIの関係
国内の高齢者1,000人以上を8年間追跡した調査では、肥満の人よりもやせすぎの人(BMI20以下)のほうが明らかに生存率が低かったという結果が出ている。
やせすぎの人のほうが要介護や寝たきりの状態になりやすかったということも示されている。高齢者では、肥満よりも、やせすぎでいるほうが危険だといえる。
やせすぎ・低栄養に陥ることで、骨や筋肉、臓器、血管が弱くなったり、免疫の働きが低下したりして、全身状態が悪化することで生存率が低くなる。
体重の減少にも注意が必要
BMI20以下の人はもちろん、「高齢になってから、体重が5%以上減少した」人も注意が必要。
40年間にわたる約4,000人のデータを調べた研究では、体重が5%以上減るのにかかった期間の長短に関わらず、死亡率が高くなる。
BMIが20以上でやせすぎではない人でも、高齢者の場合は体重5%以上の減少には注意が必要。
体重減少の原因
体重減少の原因は大きく2つに分けられる。
- 食事のとり方
- 病気
体重が“徐々に”減ってきた場合、多くは食事のとり方が原因。この場合は食生活を見直すことが重要。
体重が“急に”減った場合は、病気が原因であることが多いため、医療機関の受診を。
健康長寿のための食生活:「さあにぎやか(に)いただく」
低栄養や体重減少を予防・改善するための基本は、毎日いろいろな食品を食べること。
ごはんやパン、麺類などの主食以外に、魚介類、肉類、卵、牛乳・乳製品、大豆製品、緑黄色野菜、海藻、いも類、果物、油脂類という10種類の食品群を意識し、毎日7種類以上を食べるようにしましょう。
これらの食品群は頭文字をとって「さあにぎやか(に)いただく」と覚えましょう。
- さかな
- あぶら
- にく
- ぎゅうにゅう
- やさい
- かいそう
- いも
- たまご
- だいずせいひん
- くだもの
主食と10の食品群をしっかり食べるためには、1日3食に間食を加えることが効果的。
低栄養の人は摂取エネルギー量が少なくなりがちなので、間食はエネルギーを補ううえでも役立つ。
1回の食事量が少ない人は、1日4食にしてもかまいません。
高齢者の低栄養や体重減少を引き起こす要因
いろいろな食品をとることが大事とわかっていても、高齢になると、食事量が減ったり栄養が偏ったりしやすい要因が増えてくる。
- 食が細くなる:食べられる量が減ってしまう。
- 調理に手間をかけなくなる:体力低下や痛みにより、台所に立つ時間が減る。
- 経済的な不安:食費を抑えようとし、栄養バランスが偏る。
かむ力・飲み込み・味覚の低下や、義歯など歯の不具合、胃腸の機能低下による胃もたれ・便秘・下痢など、要因が重なるほど、食事量が減りがちになる。
体力低下によるだるさや、腰痛やひざの痛みがあるために、台所に立つ時間が減ったり、買い物の頻度や量が減ったりしがちです。1日3食の調理を負担に感じることもある。
高齢者で、いわゆる年金生活の人では、食費を抑えようと考える人も多くいます。さらに昨今の物価高が、その傾向に拍車をかけています。ただ、食費節約には大きな落とし穴があります。食パンやカップ麺などの比較的安価で炭水化物を多く含む食品を選ぶことが増えがちですが、その分、たんぱく質などの摂取が減るなど、栄養バランスが偏りやすくなります。たんぱく質の摂取量が不足すると、骨量や筋肉量が減少します。また、免疫機能が低下し、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症にかかるリスクが上がってしまいます。
手軽にできる1日の献立例
無理に量を増やさずに、安く、調理の手間をできるだけかけず、簡単にできて、「さあにぎやか(に)いただく」の10種類の食品群をとれる1日の献立例を紹介。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアで手軽に購入できて、保存しやすい食材が便利に使える。
朝食
朝食は、バターを塗ったトースト、バナナ、牛乳、ミニトマト、ハムエッグ。
ハムエッグは、ハムの上に生卵をのせ、つまようじなどで黄身に1~2か所、穴をあけ(黄身の破裂を防ぐため)、ラップをかけて電子レンジで加熱すると簡単につくれる。
昼食
麺類や丼物などの1品で済ませがちになる昼食には、10種類の食品群の材料をのせるだけで栄養バランスが改善する。
例えば、そばに、ちくわ、解凍した冷凍のオクラ、乾燥わかめ、うずらの卵(水煮)、油揚げをのせると5種類の食品がとれる。
冷凍のオクラの代わりに、冷凍のほうれん草やいんげんにするのもおすすめ。
さらに1品だけ足しましょう。缶詰のさばの水煮に、風味づけにごま油をかける。
間食
間食は、ヨーグルトに缶詰のみかんをのせて、オリーブオイルをかける。
フルーツは缶詰のもの以外にも、カットされたりんごやパイナップル、冷凍のいちごやブルーベリーなども使うとバリエーションを楽しめる。
お菓子やプリンなどを間食でとるのもよい。
紅茶にはちみつを入れると、エネルギー量が増やせる。お好みのジャムを入れてもおいしく楽しめる。
夕食
夕食のメインディッシュは「ミートボール トマトグラタン風」。
ミートボール(80g)、ミックスベジタブル(40g)、ブロッコリー(40g)は冷凍食品を使用。
耐熱容器に、トマトジュース(80g)、ミックスベジタブル、ブロッコリーを入れ、ラップをして電子レンジで加熱(500Wの場合は3分)。
加熱後にトマトケチャップ(小さじ2杯)を加えて、よく混ぜる(ミートボールにソースが付いている場合は、トマトケチャップではなくソースを使用する)。
解凍したミートボールを加え、全体を軽く混ぜてからピザ用のチーズ(15g)をのせ、再びラップをして電子レンジで加熱して完成(500Wの場合は2分)。
※電子レンジの加熱は機器によって時間を調整。
ごはんは「ミニ3色丼」。
冷凍のオクラととろろを解凍し、納豆と一緒にごはんの上にのせる。
めんつゆをかけて、きざみのりをちらす。
めんつゆの代わりに納豆のたれをかけてもよい。
ごはんは120gと少なめ。
主食でおなかいっぱいにならないように少し減らしたほうが、10種類の食品群をとりやすくなる。
冷凍のさといもを解凍し、インスタントみそ汁に入れると、簡単にいも類がとれる。
冬でも食べやすい「温やっこ」。
木綿豆腐1/4丁(または小パック1/2)をキッチンペーパーで包み、耐熱皿にのせて、電子レンジで加熱(500Wの場合は1分~1分半)。
加熱後にキッチンペーパーを外し、なめたけをのせる。
この3食と間食で、たんぱく質を合計で約85gとることができる。(一般的な高齢女性の推奨量は50g)
当院での対応
当院では「やせすぎ」に対して、AWG療法(自費)を行っています。
