「アブラを味方に!動脈硬化予防」(「きょうの料理」連動企画 私のおいしい処方せん)
から揚げや生クリームたっぷりのケーキなど、脂質を多く使った料理はおいしいものですが、一方で肥満やコレステロール値の上昇といった健康への影響も懸念されます。しかし、脂質の種類を正しく知り、適切に使い分けることで動脈硬化の予防が可能になります。今回は「とりすぎに注意したい脂質」と「積極的に摂取したい脂質」の最新情報、そして健康的な脂質の取り方を解説します。
脂質の種類と役割を正しく理解する
脂質は「健康の敵」というイメージを持たれがちですが、本来は私たちの体にとって欠かせない栄養素です。重要なのは、脂質の種類を理解し、適切に使い分けることです。脂質は主に「脂肪」と「コレステロール」の2つに分類されます。
| 脂肪 | 体を動かすための重要なエネルギー源となります。 |
|---|---|
| コレステロール | 細胞膜やホルモン、胆汁酸などの体の重要な材料となります。 |
日本人は脂質とコレステロールをとりすぎている?
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日の総エネルギーのうち脂肪から摂取する割合は20〜30%が望ましいとされています。しかし、最新の調査では成人女性の約5割、男性の約4割がこの基準を超えています。
また、コレステロールの摂取量も、動脈硬化予防の観点から1日200mg未満が推奨されるケースがあるのに対し、日本人の平均は300mgを超えており、世界的に見ても高い水準にあります。これらを過剰に摂取し続けると、肥満だけでなく脂質異常症のリスクが高まります。
脂質異常症が動脈硬化を引き起こすメカニズム
血液中では、さまざまな粒が脂質を運んでいます。これらのバランスが崩れた状態が脂質異常症です。
| LDLコレステロール | 各組織へコレステロールを運ぶ役割。増えすぎると血管壁に蓄積します。 |
|---|---|
| HDLコレステロール | 余分なコレステロールを回収し、体外へ排出する役割を担います。 |
| 中性脂肪 | エネルギーを全身に届ける役割。増えすぎるとHDLを減らしてしまいます。 |
脂質異常症を放置すると、血管の内壁にプラーク(こぶ)ができ、動脈硬化が進行します。その結果、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患を引き起こすリスクが高まるため、定期的な健康診断でのチェックが不可欠です。
注意が必要な脂質:コレステロールと飽和脂肪酸
健康を守るために、摂取量に気をつけたい脂質には「コレステロールを多く含む食品」と「飽和脂肪酸」があります。
コレステロールを多く含む食品
卵やえび、魚卵などはコレステロールが豊富です。特に卵については、食べる数が多いほど死亡率や心疾患リスクが高まるという報告もあるため、日常的な多量摂取は控えましょう。また、しらすなど内臓ごと食べる魚にも比較的多く含まれています。
飽和脂肪酸を含む食品
主に肉の脂身や乳製品などの動物性食品に含まれます。これらを過剰にとると、悪玉であるLDLコレステロールを増やしてしまいます。ただし、肉には貴重なたんぱく質やビタミンも含まれるため、極端に避けるのではなく部位や調理法を選ぶことが大切です。
脂質の摂取をコントロールする工夫
日々の食事で、脂質の量を賢く抑えるためのポイントをご紹介します。
肉を選ぶ際のポイント
- 牛肉や豚肉よりも鶏肉を選ぶ。
- 「バラ」や「ロース」よりも、赤身のヒレを選ぶ。
- 鶏肉は「もも」よりも「むね」やささ身を選ぶ。
調理法の工夫
- 鶏肉の皮を取り除くことで飽和脂肪酸を大幅にカットできます。
- 「蒸す」「ゆでる」「しゃぶしゃぶ」など、脂を落とす調理法を取り入れる。
- バターや生クリームは、仕上げに加える「あとバター」にすることで、少量でも風味を楽しめます。
トランス脂肪酸と現代のマーガリン
かつてマーガリンに多く含まれていたトランス脂肪酸は、LDLコレステロールを増やし、心筋梗塞のリスクを高めるとされていました。しかし、現在の市販マーガリンは技術改良により、トランス脂肪酸はほとんど含まれていません。むしろ注意すべきは、ショートニングを使用した菓子パンやスナック菓子、酸化した揚げ物油などです。
積極的にとりたい「魚の脂質」EPA・DHA
動脈硬化の予防に効果的なのが、青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸(EPA・DHA)です。これらは体内でほとんど作ることができないため、食事から摂取する必要があります。
| EPA・DHAの主な効果 | 血液をサラサラにする、炎症を抑える、血管を広げるなど。 |
|---|---|
| おすすめの魚 | さば、まぐろ、あじ、いわし、さんま、ぶりなど。 |
魚の脂質を効率よく摂取するには、脂が逃げにくい刺身、缶詰、ホイル蒸しが適しています。肉料理を週に数回、魚料理へ置き換えることから始めてみましょう。
おすすめレシピ:レモン風味のゆで塩さば
魚の健康的な脂質を無駄なく、さっぱりと食べられるレシピです。1歳未満の乳児には、はちみつを使用しているため与えないでください。
材料(2人分)
- 塩さば(半身/骨なし):2枚
- じゃがいも:(小)2個(240g)
- たまねぎ:1/4個(50g)
- A(レモン輪切り3枚、ローリエ1枚、水1.5カップ、白ワイン大さじ1、塩少々)
- マスタードソース(マスタード・オリーブ油各1/2、はちみつ・白ワインビネガー各1、塩少々)
- クレソン:適宜
-
下準備
じゃがいもは1cm厚さの輪切り、たまねぎは薄切りにし、ソースの材料を混ぜておきます。 -
蒸しゆでにする
フライパンにAと野菜を入れて中火にかけ、煮立ったらふたをして3〜4分間蒸しゆでにします。 -
さばを加える
塩さばを加え、弱めの中火でさらに5分間ほどふたをして蒸しゆでにします。 -
仕上げ
具材が柔らかくなったら器に盛り、クレソンを添えてソースをかけたら完成です。
脂質は量だけでなく、質とバランスが重要です。肉の脂を控えめにし、1日1品は魚を取り入れるなど、できることから改善していきましょう。数値が気になる方は、炭水化物のとりすぎにも注意し、バランスの良い食生活を心がけてください。
当院での治療
当院では動脈硬化、動脈硬化性疾患に対して、AWG療法(自費)を行っています。
