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変形性ひざ関節症 新常識 「新しい“切らない治療”とサプリメント その評価は?」(きょうの健康)

[2026.02.17]

ひざの治療について3つのトピックスをとりあげる。1つは2023年6月に新しく保険適用になった、末梢神経ラジオ波焼灼療法。体への負担が少なく持病や高齢のために手術ができない人にとって新たな選択肢になった。さらに自分の血液から採りだした成分を患部に注入する「多血小板血漿療法」と、グルコサミン、コンドロイチン、ビタミンDなどのサプリメントについての現時点での評価を詳しく紹介。

変形性ひざ関節症の治療:最新情報と選択肢

「変形性ひざ関節症」の治療法について、今回は3つのトピックスを取り上げます。どのような治療を選択するか判断するときに役立つのが「変形性膝関節症診療ガイドライン」で、最新版は2023年版です。2019年から改訂作業に入ったため、それ以降に保険適用された治療については掲載されていません。

今回は、2023年に保険適用された「末梢神経ラジオ波焼灼療法」のガイドラインの一歩先の情報を紹介します。そして、診療ガイドラインに特別に掲載された再生医療の「多血小板血漿療法」、さらに「サプリメント」についても取り上げます。

最近のCMやインターネット、雑誌などには『手術しなくても大丈夫』『ひざを切らない最新治療』などの広告があふれています。適切な治療を選択するには、正しい知識が必要です。選択する前にしっかり情報収集をしましょう。

末梢神経ラジオ波焼灼療法:新たな選択肢

末梢神経ラジオ波焼灼療法は、関節にラジオ波(高周波)を流して、痛みを伝える神経の末端のたんぱく質を焼いて遮断する治療法です。

超音波画像で確認しながら、痛みを伝える末梢神経に針を刺し、たんぱく質を焼いて破壊します。

ひざの痛みが緩和される効果が期待できます。手術より体への負担が少なく、治療時間は約1時間です。痛みの緩和効果は1~2年続きます。高齢で持病があるなど、手術のリスクが高い人の新たな治療の選択肢になると期待されています。費用は約5万円(3割負担の場合)です。治療後半年たっても痛みが半分以上軽減している人は約7割で、効果には個人差があります。長期にわたるこの治療の効果については今後の臨床試験の結果を待つ必要があります。

また、この治療ではひざの構造は改善されないため、治療後すぐに過度な運動を行うと症状が悪化する恐れがあります。徐々に運動量を増やして筋力をつけ、ひざへの負担を減らすことが大切です。

この治療は、日本整形外科学会専門医・日本関節病学会員で研修を受けるなど、条件を満たした医師のみが実施できます。自分がこの治療の対象になるのか、また治療の効果や治療後のケアなどについては、あらかじめ医師に確認しましょう。

多血小板血漿療法(PRP療法)について

血小板には組織の修復能力のある成長因子が含まれています。多血小板血漿療法は、患者自身の血液を凝縮してつくった、血小板を多く含む「多血小板血漿(PRP)」をひざの患部に注射し、ひざの痛みを抑えようとする治療法です。

一部の大学病院で臨床研究を行っているほか、自由診療でこの治療を行っている診療所などの医療機関も散見されます。自分の血液成分を使っているので免疫反応が起こることはなく、安全面での不安はほとんどありません。

「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、多血小板血漿療法について、どの程度の治療効果があるのか、さまざまな文献や報告を検証しました。その結果、そもそもPRPの取り出し方や使用している機械が医療機関によって異なっていたり、治療を受けた人の重症度がばらばらだったりして、正確な効果判定ができないことが判明しました。「身体機能、日常生活動作、生活の質」の改善や、有害事象の発生についても調べましたが、信頼に足る効果判定はできませんでした。自由診療でコストが高額なことから、ガイドラインでは費用と有効性が見合うものかどうか、今後も詳細な検討が必要と結論づけています。

変形性膝関節症とサプリメント:最新エビデンス

サプリメントには、法律上の定義はなく、健康によいことをうたった食品を指します。ひざへの効果をうたうサプリメントとして知られているグルコサミン、コンドロイチン、グルコサミン・コンドロイチンの併用、ビタミンDの4つについて、「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では大規模な検証を行いました。

グルコサミン

グルコサミンの検証結果
「痛みの抑制、身体機能(ひざ)、日常生活動作、生活の質、軟骨保護作用」の改善はみられませんでした。

コンドロイチン

コンドロイチンの検証結果
コンドロイチン投与後6か月~2年まで、わずかな痛みを抑える効果を示しましたが、2000年以降の質の高い研究に限れば「痛みの抑制」はほとんどありませんでした。また、「身体機能(ひざ)、日常生活動作、生活の質、軟骨保護作用」の改善は、すべての期間を通じてみられませんでした。

グルコサミンとコンドロイチンの併用

グルコサミンとコンドロイチンの併用 検証結果
「痛みの抑制、身体機能(ひざ)、日常生活動作、生活の質」の改善はみられませんでした。

グルコサミンとコンドロイチンは、どちらもひざの軟骨に含まれている成分です。しかし、軟骨成分を口から摂取しても体内で分解されるので、変形性ひざ関節症に効果を発揮するとはいえないようです。

ビタミンD

ビタミンDは、丈夫な骨をつくるために不可欠な栄養素で、不足すると骨折リスクが上がることがわかっています。

ビタミンD 検証結果
統一的な効果の判断はできませんでした。変形性ひざ関節症の原因である軟骨のすり減りへの効果は確認できませんでした。

誇大広告とセールストークに注意

  • 健康食品・サプリメントで病気が治る
  • 効果があったという体験談がたくさん寄せられている製品だから信用できる
  • 細胞や動物実験で証明された効果なら期待できる
  • 天然・自然のものだから安心
  • 専門家・研究者・有名人が推薦しているから信用できる
  • 一時的に体調が悪くなるのは効果のある証拠

現在サプリメントを使っている人は、自分にとってサプリメントが本当に必要かどうか、いま一度考えてみましょう。効果を実感できない場合は、整形外科を受診して医師と相談して続けるかどうかを判断してください。

膝への負担を軽減する階段の上り下りのコツ

変形性ひざ関節症の治療と並行して、ひざを守る生活習慣を身につけることも大切です。ひざへの負担を最小限にする「階段の上り下り」のコツを紹介します。

ひざの痛みが強いときは、足を出す順番に気をつけましょう。上るときは痛みのない足から踏み出し、下りるときは痛みのある足から踏み出すと、ひざへの負担が減らせます。また、一つの段に両足を乗せて上り下りするようにしましょう。手すりがある場合は、手すりを使うようにします。外出先ではエレベーターやエスカレーターを積極的に利用して下さい。

当院の変形性膝関節症に対する治療

当院では、変形性膝関節症に対して下記の治療を行っています。

  • ヒアルロン酸注射
  • プロロセラピー
  • 足底板、膝サポーター
  • 運動器リハビリテーション(予約制)
  • 多血小板血漿療法:PRP(自費)

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