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「股関節の痛み」克服法〜診断・薬・手術の最新情報〜 「股関節の手術法は進行度で選ぶ」(きょうの健康)

[2026.01.30]

運動療法や薬物療法などで股関節の症状に改善が見られない場合は、手術を検討することになる。

近年、医療技術の進歩により股関節の手術は、大きく変化している。

股関節の状態や年齢などに応じて、手術法も選択できる時代になってきた。

「関節鏡手術」「骨切り術」「人工股関節全置換術」の特徴やメリット、デメリットを紹介。

また「人工股関節全置換術」ではロボット支援による最新の手術法も解説。

股関節手術:進行度に応じた選択肢

股関節の痛みが、運動療法や薬による治療で改善が見られない場合には、手術を検討することになる。

近年は、手術に対する考え方が変わってきており、進行度や年齢などに応じて手術法を選択する時代になっている。

最新の診療ガイドラインでも、進行度や年齢などに応じて3つの手術法が整理されており、それぞれに適応や推奨度が示されている。

股関節手術の進化

以前は、股関節の手術は体への負担が大きく、歩けなくなるまで我慢してから、最終的に人工股関節全置換術しか選択肢がないと考えられていた。

現在では、関節の状態や年齢に合わせて、自分の関節を残す手術から人工股関節全置換術まで選べるようになってきている。

痛みのない動きを取り戻すために、アスリートが手術を選択することもある時代になっている。

股関節手術の種類:進行度に応じた3つの手術法

股関節の手術は、関節を残す手術である関節温存術と、関節を人工のものに置き換える人工股関節全置換術に大きく分けられる。

関節温存術には、軽症から重症までを対象とする関節鏡手術と、軽症から中等度を対象とする骨切り術がある。

主に中等度から重症まで進行した方が対象となるのが人工股関節全置換術で、いずれも保険適用で受けることができる。

関節鏡手術

関節鏡手術は、股関節の中を小さなカメラで見ながら行う手術で、軽症から重症まで幅広い進行度に対応しているのが特徴。

関節鏡手術の対象となるケース

対象となるのは、「関節唇損傷」と呼ばれる関節の縁にあるリング状の組織が傷つき、股関節の奥に痛みや引っ掛かりが出るタイプや、「FAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)」と呼ばれる骨の形の特徴によって関節が傷みやすいタイプ、また変形性股関節症の初期から進行期で、軟骨のすり減りが軽度で、痛みの原因が関節の損傷や骨の衝突である場合など。

変形性股関節症の末期でも、症状を改善する目的で関節鏡手術が行われるケースがある。

関節鏡手術の方法と特徴

股関節の周囲に1センチほどの小さな穴を数か所開けて、そこからカメラと細い器具を入れて手術を行う。

傷んだ関節唇を縫い合わせたり整えたりするほか、FAIのように骨がぶつかる部分があればその出っ張った骨を削り、動きがスムーズになるように整える。

股関節を大きく開かずに済むために回復が早く、痛みの原因にピンポイントで対処できることがメリット。

特にスポーツ復帰を目指す若い世代にとって利点がある。

軟骨のすり減りがかなり進んでいる場合には、効果が限定的で、変形が強いケースでは別の手段が必要になることもある。

入院期間は一般的に1〜2週間が目安で、早ければ数日で退院し、その後は数か月かけてリハビリを行う。

骨切り術

骨切り術は、股関節の骨の動きやかみ合わせに問題のある人が対象。

骨切り術の対象となるケース

具体的には、寛骨臼形成不全と呼ばれる、生まれつき骨盤側の受け皿が浅く、軟骨に負担が集中しやすいタイプや、変形性股関節症の初期から進行期で、軟骨が完全には失われていない段階の人が対象。

骨の角度を変えて負担を分散させることで、痛みの改善が期待できる。

主に20代〜40代の人が対象。

骨切り術の方法とメリット・デメリット

骨盤側の骨を一部切り、向きを変えることで体重のかかり方を変え、関節にかかる負担を減らす手術。

自分の関節を残せることが最大のメリットで、人工股関節全置換術に移行する時期を遅らせることが期待できる。入院やリハビリの期間が長く、回復に時間がかかる点がデメリット。

軟骨がほとんど残っていない末期では効果が出にくいとされている。

入院はおよそ1か月が目安で、その後も半年ほどかけてリハビリを行う。

人工股関節全置換術(THA)

人工股関節全置換術は、変形性股関節症の進行期から末期で、股関節の変形が進み痛みが強く、日常生活がつらい状態の人が対象。

人工股関節全置換術の対象となるケース

また、骨折や関節リウマチ、特発性大腿骨頭壊死症などで股関節が大きく傷んだ場合にも行われる。

人工股関節全置換術の方法と耐久性

痛んだ骨頭と骨盤側の受け皿を取り除き、人工のパーツに置き換える手術。

人工股関節にはセラミックやチタンなど、摩耗が少なく耐久性の高い素材が使われている。

以前は耐久性は20年程度とされていましたが、素材の品質向上により、現在では30年以上もつと考えられていて、50歳前後の人でも受けられる手術。

人工股関節全置換術のメリットとリスク

痛みが改善し、手術の翌日からリハビリが可能で、歩行や日常生活の質が大きく向上する。

テニスプレーヤーやプロゴルファーなどのトップアスリートもこの手術で復帰しているほど精度の高い手術。

頻度は少ないものの脱臼感染症などのリスクがある。

脱臼が起きた場合は元に戻す処置を行い、感染症の場合は抗菌薬などで状況に応じた治療を行う。

50歳以下の若い世代では一生のうちに再手術が必要になる可能性がある。

入院は一般的に2〜3週間が目安で、退院後も数か月かけて体の動きを回復させていく。

ロボット支援による人工股関節全置換術

近年では、ロボット支援による人工股関節全置換術が行われるようになり、精度がさらに向上している。

ロボット支援手術の仕組み

手術前にCTやエックス線のデータをもとに、どの程度骨を削るかをシミュレーションし、手術中は設計された範囲から外れないようロボットが制御しながら骨を削る。

カップを取り付ける際も位置が制御され、必要以上の力が加わらないようになっている。

センサーで位置や角度を管理し、その場で正しい位置に入っているかを確認しながら進められる。

こうしたロボットの支援により、角度の誤差は1〜2度、位置のずれも1〜2ミリ程度に抑えられるようになり、診療ガイドラインでも推奨される治療の一つと位置づけられている。

手術後のリハビリテーション

リハビリでは、まず正しく歩く練習を行い、股関節周囲の筋肉をしっかり使えるようにするためストレッチや筋力トレーニングを行う。

無理のない範囲で関節を動かすことで、硬くなることや痛みが出るのを防ぐ。

水中運動も勧められており、水中を大股で歩いたり向きを変えたり、体を上下に動かすことで筋肉に良い刺激を与えることができる。

より良く動くための選択肢

手術は決して最終手段ではなく、より良く動ける未来をつくるための選択肢の一つ。

一人で症状を抱え込まず、早めに整形外科を受診することが大切。

当院での対応

当院では関節唇損傷、FAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)、変形性股関節症に対して、関節注射PRP療法(自費)運動器リハビリテーション(予約制)を行っています。

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