肝臓がん 早期発見・徹底治療 「がんが肝臓に転移してもあきらめない!」2025.12.17 きょうの健康
大腸や胃など、ほかの臓器で発生したがんが肝臓に流れ込むことで起こる「転移性肝がん」。
ステージ4に分類され、治療が非常に難しいがんだが、近年、進歩する薬物療法と手術による切除との組み合わせによって、予後が延びる効果がいくつも報告されている。
転移性肝がんとは
肝臓がんには、「原発性肝がん」と「転移性肝がん」の2つに大きく分けられます。
- 肝臓そのものから発生したがんが原発性肝がんです。
- 大腸など肝臓以外の臓器で発生したがんが血液やリンパにのって肝臓に転移したものが転移性肝がんです。
- 大腸や胃、肺などから、さまざまな物質が血液を通じて肝臓に流れ込みますが、がんが紛れ込み、一部が肝臓で増殖することで、転移性肝がんが生じます。
- 特に、大腸がんは肝臓に転移する率が高く、大腸がん患者の約25~50%に肝転移があります。
- がんが肝臓に転移しても、多くの場合、無症状です。
- 肝臓の機能が悪くなるまでがんが増殖してしまうと「肝不全」になり、おなかに水がたまる(腹水)、胆汁の流れ道がブロックされて皮膚や白目が黄色くなる(黄だん)などの症状が出ることがあります。
- 生命に必要なタンパク質がつくれなくなってしまうと、命が危機的な状況になってしまいます。
- 転移性肝がんは、がんの進行度では「ステージ4」に分類され、一般的に予後が悪いと言われています。
- 抗がん剤や分子標的薬などの進歩によって、予後は少しずつですが延びてきています。
転移性肝がんの治療法
転移性肝がんの治療でまず行われるのが「薬物療法」です。
- ほかの臓器で発生したがんが肝臓に転移していると、肝臓以外の臓器にも転移している可能性があります。
- そのため全身を治療できる薬物療法が効果的になります。
- 薬物療法は、がんを小さくしたり、進行を抑えたりする効果は期待できるが、がんをゼロにするのはかなり困難です。
- 根治を目指すには、どこかの段階で「手術」を行うことも必要になります。
- 大腸がんの肝転移では、肝臓だけにがんがとどまっていて、がんの数が少なければ「切除可能」と判断され、大腸と肝臓の手術だけで根治することもあります。
転移性肝がんの治療戦略
- 転移性肝がんの治療では、手術によって切除できるか否かによって治療戦略が変わってきます。
- 「切除可能」と「切除不能」の間にある、「境界域切除可能」といわれる状態の場合、見た目には手術で完全にがんを取り除くことができるように見えても、微小ながんが残っている可能性があります。
- まず抗がん剤や分子標的薬などの薬物療法を行ってから、手術という戦略をとります。
転移性肝がんを手術で切除する際の条件
原発巣の種類
- がんが肝臓だけにとどまっているか
大腸がん・神経内分泌腫瘍
- 大腸がんからの転移は、がんが肝臓だけにとどまっていることが多くあります。
- 手術での治療効果が期待できることから、手術での切除が推奨されます。
- 神経内分泌腫瘍という種類は、薬物療法あるいは放射線治療と組み合わせながら手術で積極的に切除することが効果的です。
胃がん・胆道がん・膵臓がん
- 胃がんや胆道がんからの転移の場合は、肝臓のほかにも転移がある可能性が高いため、1番目に手術は推奨されません。
- 「がんの数が少ない」あるいは「長期間抗がん剤を投与して肝臓以外に転移が出てこない」などの一定の条件を満たせば切除が予後の延長につながることがあります。
- 膵臓がんは悪性度の高いがんの代表で、こちらも1番目に手術することは推奨されません。
- 胃がん、胆道がんの場合と同じように一定の条件を満たせば、手術することが予後を延ばすことにつながります。
乳がん・肺がん
- 乳がんや肺がんは、肝臓以外にも、がんが転移している可能性がとても高いため、肝臓の手術が行われることはほとんどありません。
がんの大きさ・個数
- 医療機関ごとに、手術できるがんの個数と大きさの基準が異なります。
- 数や大きさが基準値内の場合、「切除可能」と判断され、薬物療法を行わず、まず手術をすることが検討されます。
- 数や大きさが基準値内であっても、転移したがんを切除してしまうと、生きるために必要な肝臓の量が残せない、残すべき血管を切ってしまう危険性がある際には、その段階で「切除不能」という判断になります。
肝機能と切除量のバランス
- 手術後に命を支えるだけの肝臓が十分残るかということを判断します。
- 肝臓の機能が正常な人の場合、肝臓は3分の2を取っても、残った3分の1が再生して大きくなるため、安全に手術することができます。
- もともと肝炎を患っていたり、あるいは抗がん剤などで肝臓の機能が悪い場合は、少量の切除でも危険なことがあります。
- 手術前にAIなどの技術を使って肝臓の機能を詳しく計算して、手術による切除の戦略を立てます。
薬物療法で「切除不能」が「切除可能」になることも
- 「切除不能」と判断された場合でも、薬物療法の効果によって手術が可能になる場合があります。
当院では肝臓がんに対してAWG療法(自費)を行っています。
