腰痛 タイプ別の治療 決定版 「ぎっくり腰・椎間板ヘルニア 急な腰痛」(きょうの健康)
若い年代から高齢の方まで幅広く発症するぎっくり腰は、突然の激しい痛みに襲われるのが特徴です。また、腰椎椎間板ヘルニアを抱えている方も、無理な動作をきっかけに急激な腰痛を引き起こす可能性があるため注意が必要です。急な腰痛の多くは自然に炎症が治まり痛みも改善しますが、放置すると慢性化したり再発を繰り返したりすることもあります。最近では使いやすい新しい治療薬も登場しているため、早めに痛みを抑えることが大切です。また、症状が落ち着いた後は適度な運動を取り入れることが、将来の腰痛対策として非常に効果的です。
腰痛に悩む人が多い理由とは
厚生労働省が2022年に行った国民生活基礎調査によると、体に不調を感じる症状として「腰痛」が男女ともに第1位でした。腰痛は8割の人が一生に一度は経験すると言われるほど身近な症状であり、まさに日本の国民病とも呼べる状態です。
人間は二足歩行をするため、上半身の重さを支える腰には常に大きな負担がかかっています。特に現代社会では、デスクワークなどで長時間座る習慣が定着していることも影響していると考えられます。そのほかにも、運動不足による筋力の低下や肥満、精神的なストレスなども腰痛を引き起こす要因となります。このように、日常生活の中に多くのリスクが潜んでいるため、腰痛に悩む人が極めて多いのです。
ぎっくり腰の主な原因と部位
正式名称を「急性腰痛症」と呼ぶぎっくり腰は、重い荷物を持った瞬間や無理な姿勢をとった際に発症します。痛みの原因となる部位は、主に以下の4つの組織に分類されます。
| 筋肉の障害 | 腰から首にかけて背中を支える「脊柱起立筋」に過度な負荷がかかり、炎症が起きた状態です。 |
|---|---|
| 椎間板の障害 | 背骨のクッションである「椎間板」に、前かがみや捻転動作によって亀裂が入ることで生じます。 |
| 椎間関節の障害 | 背骨をつなぐ「椎間関節」がいわゆる捻挫のような状態になり、強い痛みを発します。 |
| 仙腸関節の障害 | 骨盤と背骨をつなぐ「仙腸関節」が、衝撃の吸収や重量の支持に耐えきれず炎症を起こします。 |
ぎっくり腰の治療と早期回復のポイント
ぎっくり腰を早く治し、再発を防ぐためには適切な処置が不可欠です。治療における重要なポイントを確認しておきましょう。
痛みが落ち着くまで適度に安静にする
発症直後の激痛がある時期は、腰に負担がかかる動きを避けて生活します。軽度の場合は1週間から2週間程度で自然に回復することが一般的です。
痛みが軽くなったら意識的に体を動かす
最近の研究では、我慢できる範囲であれば早期から活動を開始した方が、回復が早いことが分かっています。過度な安静を続けると筋力が低下し日常生活に支障をきたす恐れがあるため、無理のない範囲で動くことが推奨されます。
薬物療法と新しい貼り薬の活用
炎症を抑える「非ステロイド性抗炎症薬」が広く用いられます。従来の飲み薬や座薬は胃腸や腎臓への負担に注意が必要であり、湿布薬はかぶれの問題がありました。しかし、2021年に登場したジクロフェナクナトリウム貼付剤は、胸や上腕などどこに貼っても腰痛に効果を発揮するため、毎日貼る場所を変えて皮膚トラブルを防ぐことが可能です。全身に安定した効果が得られますが、医師の指導のもと血液検査などで健康状態を確認しながら使用しましょう。
医療機関での詳細な検査が必要なケース
適切な治療を2〜3週間続けても痛みが改善しない場合は、単なるぎっくり腰ではない可能性があります。特に「腰椎椎間板ヘルニア」や、高齢の方に多い「圧迫骨折」が隠れていることも珍しくありません。一般的なレントゲン検査だけでなく、MRIやCTを組み合わせることで、神経の圧迫状態や骨の微細な骨折を正確に診断することが可能です。
重症化しやすい腰椎椎間板ヘルニア
20代から40代に多く見られる腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中身である「髄核」が外に飛び出し、神経を直接圧迫する疾患です。ぎっくり腰よりも痛みが強く、放置すると足のしびれや麻痺などの重篤な障害につながるリスクがあります。慢性化しやすいため、専門的な治療とリハビリテーションが重要となります。
ぎっくり腰の再発を予防する背筋ストレッチ
背筋を伸ばす運動は、腰への負担を軽減するのに役立ちます。ただし、ヘルニアの人や足にしびれがある人は症状を悪化させる可能性があるため、主治医に相談してから行ってください。
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基本姿勢の準備
足を肩幅に開いて立ち、両手をお尻のあたりにあてます。 -
背筋を伸ばす動作
あごを軽く引き、息を吐きながら無理のない範囲で背筋を5秒間伸ばします。 -
ゆっくりと元の姿勢へ
ゆっくりと元の位置に戻します。これを5回1セットとして、1日3セットを目安に行いましょう。
ヘルニアの再発予防におすすめの体幹運動
お腹の筋肉(腹圧)を鍛えることで、天然のコルセットのように腰を支える力を高めます。腰を大きく動かさないため、ヘルニアの再発予防にも最適です。
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仰向けの姿勢をとる
あおむけになってリラックスし、両ひざを軽く曲げた状態にします。 -
おなかを膨らませる吸気
鼻から大きく息を吸い込み、5秒間かけておなかを目一杯膨らませます。 -
おなかをへこませる呼気
口から息を吐き出し、同時におなかを限界までへこませた状態で5秒間キープします。 -
リラックスと継続
ゆっくりと元の状態に戻します。10回1セットとして、1日3セットを目安に継続してください。
当院での腰痛治療
当院では腰痛に対して下記の治療を行っています。
