早く治したい!首の痛み 「体の負担の少ない手術」(きょうの健康)
脊椎の骨が変形して神経を圧迫する頚椎症などの場合、薬や運動などで改善が見られず、日常生活に支障が出ていれば手術が検討されます。最近では、手術後も首を自由に動かせる人工椎間板も使用されるようになりました。また、切開範囲を最小限にとどめ、筋肉を傷つけずに隙間からアプローチする最小侵襲治療も普及しています。患者さんの負担を抑え、回復を早める最新の手術法について詳しく解説します。
首の手術が必要になるタイミングと判断基準
首の痛みは、湿布や薬で炎症を抑えたり、ストレッチを行ったりすることで改善することが少なくありません。しかし、骨の変形などで神経が圧迫され、痛みやしびれが起きている場合、保存療法で改善しなければ手術が検討されます。
首の手術に不安を感じる方も多いですが、現在は切開範囲を最小限に抑えるなど、体への負担を軽減した手法が広がっています。しびれを改善するための有効な選択肢の一つです。
手術を検討する主な目安は以下の通りです。
- 薬や運動などの保存療法を行っても症状が改善しない
- 日常生活に大きな支障が出ている
- 神経のまひが進行している
首の手術を行う目的と頸椎の構造
頸椎(けいつい)は7つの骨で構成され、骨の間にはクッションの役割をする椎間板があります。周囲は筋肉や靭帯に支えられており、すぐ後ろには脊髄という太い神経が通っています。そこから腕や指へ向かう神経が枝分かれしています。
椎間板の突出や骨の変形、靭帯の硬化によって神経が圧迫されると、強い痛みやしびれが生じます。手術の目的は、この神経の圧迫を取り除くことにあります。
手術が検討される代表的な3つの病気
手術の対象となる代表的な病気には、以下の3つが挙げられます。いずれも神経が圧迫されることで様々な症状を引き起こします。
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頚椎症
- 後縦靭帯骨化症
頚椎椎間板ヘルニア
椎間板は加齢とともに傷み、外側にひびが入って中の組織が飛び出すことがあります。これがヘルニアです。飛び出した部分が神経を圧迫すると、首から背中、腕、手にかけて痛みやしびれが広がります。組織に骨の成分が含まれて症状が長引く場合は、手術が検討されます。
頸椎の変形による「頚椎症」
頚椎症は、加齢により骨や椎間板が変形する病気です。椎間板が弾力を失うと首の骨が不安定になり、補強のために骨棘(こつきょく)という骨の突起が形成されます。この突起が神経に触れることで症状が現れます。
頚椎症の2つのタイプ
| 頚椎症性脊髄症 | 脊髄本体が圧迫されるタイプです。箸が使いにくい、ボタンが留めにくいといった手の細かい動作の障害が現れ、進行すると歩行障害や排尿障害に至ることもあります。 |
|---|---|
| 頚椎症性神経根症 | 神経の枝が圧迫されるタイプです。首から肩、腕、手にかけて電気が走るような強い痛みやしびれが現れるのが特徴です。 |
後縦靭帯骨化症(指定難病)
脊髄の前を通る靭帯が骨のように硬くなる病気で、指定難病の一つです。靭帯が骨化して神経の通り道が狭くなることで、手のしびれや歩行困難、排尿障害などが現れます。進行性の場合もあるため、定期的な経過観察が非常に重要です。
首の手術方法:前方固定術と椎弓形成術
病気の種類や神経が圧迫されている範囲によって、適切な手術方法が選択されます。
首の前側からアプローチする「前方固定術」
首の前側を3〜4センチほど切開し、顕微鏡を用いて圧迫箇所を取り除きます。その後、空いたスペースに人工物を入れて上下の骨を固定します。固定した箇所は動かなくなりますが、他の骨が補うため日常生活への影響は軽微です。ただし、長期的に上下の椎間板へ負担がかかる側面があります。
人工椎間板による最新治療
近年では、固定せずに動きを維持する人工椎間板を使用するケースも増えています。前後・左右・回転の動きが可能なため、周囲の椎間板への負担を減らす効果が期待されています。
首の後ろ側から広げる「椎弓形成術」
首の後ろ側から骨の一部をドアのように開き、神経の通り道を広げる手術です。広い範囲で脊髄が圧迫されている場合に適しています。骨を完全に取り除くのではなく、隙間を人工物で支えて空間を確保し、神経の圧迫を緩和します。
体への負担を軽減する最新の手術「MIST」
現在では、MIST(最小侵襲脊椎治療)という体への負担を最小限に抑える考え方が普及しています。以前は10センチほど切開していた手術も、現在では3〜4センチ程度の切開で済む場合があります。筋肉を大きく傷つけない工夫や、出血の抑制により、早期の回復が可能です。
自分に合った医療機関の探し方
手術を検討する際は、専門医の在籍する医療機関を選ぶことが大切です。日本脊椎脊髄病学会のホームページでは、全国の専門医を検索できます。また、病院の公式サイトでMIST(最小侵襲脊椎治療)に対応しているかを確認するのも、納得のいく治療を受けるためのポイントです。
当院での治療
当院では下記の治療を行っています。
