手指の病気・トラブルは年のせい? 「手の動きが悪く変形 デュピュイトラン拘縮・ガングリオン」(きょうの健康)
手指にできるしこりは目につきやすく、不安を感じる方も多い症状です。病気が進行すると指や手が変形し、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。少しでも違和感や気になるしこりを見つけた場合は、手の外科専門医へ相談することをお勧めします。本記事では、代表的な疾患である「デュピュイトラン拘縮」と「ガングリオン」について解説します。
手指の動きが悪く変形するデュピュイトラン拘縮とガングリオン
手首や手のひらに突然しこりができると、痛みがない場合でも放置してしまいがちです。しかし、そのままにしているとしこりが拡大して指が変形し、運動機能に支障が出る恐れがあります。また、稀に重大な病気が隠れている可能性もあるため、自己判断は禁物です。まずは、手のしこりで見られる主な2つの病気の特徴を確認しましょう。
デュピュイトラン拘縮の症状と進行
デュピュイトラン拘縮は、主に手のひら側に現れるしこりで、特に薬指や小指の根元付近によく発生します。初期段階では小さなしこりですが、次第に数が増えてつながり、石のように硬くなるのが特徴です。通常、痛みは伴いませんが、進行すると指が曲がったまま伸ばせなくなるといった深刻な変形を招くことがあります。
デュピュイトラン拘縮が発症するメカニズム
手のひらの皮膚の下には、指の腱とつながり扇状に広がる手掌腱膜と呼ばれる線維の膜があります。この膜は皮膚を固定して物を握る動作を安定させ、神経や血管を保護する役割を担っています。デュピュイトラン拘縮は、この手掌腱膜の線維が異常に分厚くなり、玉状に固まることで発生します。その結果、直上の皮膚が引きつれ、指の可動域が制限されてしまいます。
日常生活への影響と発症リスク
症状が進行すると、ポケットに手を入れにくくなる、顔を洗う際に指が目や鼻に当たるといった不便が生じます。また、指が深く曲がってしまうと、手のひらを十分に洗えず衛生面で問題が出たり、爪が手のひらに食い込んだりすることもあります。
デュピュイトラン拘縮の主なリスク要因
| 性別・年齢 | 50歳以上の男性に多く見られる |
|---|---|
| 基礎疾患 | 糖尿病患者は発症リスクが1.75倍になる |
| 生活習慣・環境 | 遺伝的要因や、肉体労働による手の酷使 |
デュピュイトラン拘縮の診断と治療
この疾患は特徴的なしこりと指の変形から、多くの場合、視診や触診による外見上の判断で診断が可能です。治療は症状の進行度に合わせて選択されます。
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保存療法(ストレッチ)
症状が初期で、自力や反対の手で指を伸ばせる場合は、ストレッチを行って可動域の維持を図ります。 -
手術療法
症状が進行し日常生活に支障がある場合は、手術によって硬くなった組織を取り除きます。 -
術後の経過観察
手術を行っても、約3割の方に再発の可能性があるため、術後の定期的なチェックが必要です。
ガングリオンの特徴と発生場所
ガングリオンは、手首や手の甲に発生しやすい柔らかなしこりです。米粒大からピンポン球ほどの大きさまでさまざまで、袋の中にゼリー状の液体が溜まっているのが特徴です。手首の親指側や、手のひら側の中指・親指の根元、手の甲の真ん中付近によく見られます。
ガングリオンができる原因とメカニズム
ガングリオンは、関節を包む「関節包」から風船のような袋が突き出し、その中に関節液が濃縮されて溜まったものです。20代から40代の女性に多く発症する傾向があります。痛みがないことも多いですが、神経を圧迫したり、物を握った際や手首を動かした際につっぱり感や痛みを感じることがあります。原因は未解明な部分も多いですが、遺伝的要因や関節の持病が関係していると言われています。
ガングリオンの診断と注意が必要な病気
診断には、注射針による内容物の確認や、MRI、エコー検査が用いられます。ただし、しこりにはガングリオン以外の病気が隠れている場合があるため注意が必要です。
| 疑われる疾患 | 特徴と注意点 |
|---|---|
| 関節リウマチ | 指の第2・第3関節に左右対称に現れ、プヨプヨとした腫れや痛みを伴う。 |
| 巨細胞腫 | しこりが急激に大きくなったり、強い痛みを伴ったりする場合に疑われる腫瘍。 |
ガングリオンの治療と再発の可能性
自然に消失することもあるため、無症状であれば経過観察となるのが一般的です。痛みが強い場合や生活に支障がある場合は、以下の治療を検討します。
- 穿刺吸引:注射針で内容物を吸い出す比較的簡単な処置ですが、再発しやすいのが難点です。
- 手術:再発を繰り返す場合、手術で袋ごと摘出します。ただし、手術後も1〜2割は再発のリスクがあります。
ガングリオンの予防と管理
確立された予防法はありませんが、悪化を防ぐには指や手首に力を入れすぎる動作を控えることが大切です。草むしりなどの繰り返し作業で手を使った後は、指を伸ばす方向にゆっくりストレッチを行いましょう。早期発見が重要ですので、手にしこりを見つけた際は放置せず、早めに医療機関を受診してください。
当院での治療
当院ではエコー検査でガングリオンが疑われる場合、エコーガイド下で穿刺・吸引を行っています。
