メンタル不調 最新治療 「心配するのを制御できない 全般不安症」(きょうの健康 )
慢性的にコントロールできない心配が生じることで、原因不明の腹痛や肩こり、頭痛、筋肉の痛みといった身体症状が現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。内科的な対症療法だけでは根本的な解決に至らず、全般不安症の専門的な治療を遅らせる原因にもなるため注意が必要です。まずは自分でできるメンタルチェックを試してみましょう。本記事では、おすすめのリラックス法や、2026年3月に登場する全般不安症の新しい薬についても解説します。
日常のあらゆることが不安でたまらない全般不安症(GAD)
家族の健康や仕事、老後など、日々の暮らしに不安を感じることは誰にでもあります。しかし、常に何かが心配で夜も眠れなかったり、身体の緊張が取れなかったりする場合は、単なる心配性ではなく全般不安症(GAD)という病気の可能性があります。
最新の調査では、働く人のおよそ15人に1人という高い頻度で見られることが判明しました。特に30代以降に多く、女性は男性の約2倍の発症率と報告されています。この病気は特定の対象ではなく、日常のあらゆることに不安が向けられ、日常生活に支障をきたすのが特徴です。
また、うつ病やパニック症、強迫症など、他のメンタルの病気と合併しているケースが非常に多いこともわかっています。そのため、身体症状のために内科を受診し、根本的な原因である全般不安症の改善に至らないケースも少なくありません。重症化すると自殺の危険性を伴う可能性があるため、早期に適切な専門的治療につなげることが不可欠です。
全般不安症の症例:Aさんの体験談
全般不安症を患い、2年前から治療を続けている男性Aさんの不調は、中学生の頃の慢性的な腹痛から始まりました。当時は検査をしても異常がなく「ストレスによるもの」とされていました。大学生になると「身内が病気になるのではないか」「火事に巻き込まれないか」と、根拠のない不安を常に感じるようになったといいます。
特に苦しかったのは接客のアルバイトをしていた時です。相手に嫌われたくないという思いが強まり、最終的には背後から刺されるのではないかという極端な想像が頭を離れなくなりました。当時の心境について、Aさんは頭の半分が心配事で占められており、非常に苦しい日々だったと振り返っています。
身体の不調は早期治療のサイン
全般不安症の大きな特徴は、原因不明の腹痛、肩こり、頭痛などの身体症状を伴うことです。不安によって自律神経が過剰に働き、筋肉が持続的に緊張するためです。この痛みがさらなる不安を呼び、症状がますます悪化するという負の連鎖に陥ることも少なくありません。
身体症状への対症療法だけでは根本解決にならないばかりか、専門的な治療の開始を遅らせる要因になります。発症から1年以内に適切な治療を開始することが、スムーズな回復への鍵となります。
全般不安症のセルフチェック:GAD-7
自分自身が全般不安症に該当するのか、指標となるのがGAD-7という評価ツールです。過去2週間の状態を振り返り、以下の7項目について確認します。
GAD-7の評価項目
| ① | 緊張感、不安感または神経過敏を感じる |
|---|---|
| ② | 心配することを止められない、または心配をコントロールできない |
| ③ | いろいろなことを心配しすぎる |
| ④ | くつろぐことが難しい |
| ⑤ | じっとしていることができないほど落ち着かない |
| ⑥ | いらいらしがちであり、怒りっぽい |
| ⑦ | 何か恐ろしいことがおこるのではないかと恐れを感じる |
各項目の点数
- 全くない:0点
- 数日:1点
- 日々の半分以上:2点
- ほとんど毎日:3点
また、点数に関わらず「これらの問題によって仕事や家事、対人関係においてどの程度困難を感じているか」を4段階(全く困難でない、やや困難、困難、極端に困難)で評価します。
GAD-7の点数の見方と受診の目安
| 0~4点 | 軽微 |
|---|---|
| 5~9点 | 軽度 |
| 10~14点 | 全般不安症(中等度)の疑い |
| 15点以上 | 全般不安症(重度)の疑い |
10点以上の点数が出た人のうち、実際に全般不安症と診断されるのは約半数といわれています。一方で、10点未満の場合は95%の確率で全般不安症から除外できるという報告もあります。自分の状態を把握する目安として活用し、心配な場合は早めに専門医へ相談しましょう。
全般不安症が起こる原因
全般不安症の原因は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質のバランスの乱れ、脳の構造的・機能的不全、心理社会的なストレス、遺伝的要因などが複雑に絡み合っています。家族にメンタル不調がある場合も、発症の可能性が高まると考えられています。
全般不安症の主な治療法
治療は主に薬物療法と認知行動療法を組み合わせて行います。
最新の薬物療法
日本では従来、依存のリスクがある抗不安薬が中心でしたが、2026年3月に全般不安症の新しい薬が承認されました。SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬で、症状の根本的な改善が期待されています。
認知行動療法と心配延期法
全般不安症では、心配そのものに対する誤解を解くアプローチが重要です。脳を再教育することで「心配し続けても備えにはならず、脳を疲れさせるだけである」という事実に気づく必要があります。
心配延期法の実践
あらかじめ「夕方6時からの15分間」といった心配タイムを設定します。日中に不安が浮かんでも「今は忘れて、心配タイムに全力で考えよう」と言い聞かせ、心配事を後回しにする練習を繰り返します。これにより、今この瞬間の作業に集中できるようになります。
身体の緊張を解くリラックス法
自律神経に働きかけ、強制的にリラックス状態を作る方法を2つ紹介します。無理のない範囲で取り組んでください。
漸進的筋弛緩法
-
5秒間、全力で力を入れる
両手と両肩にグーッと力を入れます。 -
筋肉を意図的に緊張させる
肩をすくめ、こぶしを強く握りしめた状態を維持します。 -
一気に脱力する
力を抜くことで、脳に安全であるという信号を届けます。
4-7-8呼吸法
-
鼻から吸い込む
4秒かけてゆっくりと息を吸います。 -
息を止める
吸った息をそのまま7秒間止めます。 -
ゆっくりと吐き出す
8秒間かけて口から吐き出します。これにより副交感神経が優位になります。
専門家からのメッセージ
脳には必ず休息が必要です。心配や不安をゼロにしようと戦うのではなく、不安を一旦横に置いておけるような心の余白を広げていくことが、回復への大切な一歩となります。
当院での治療
当院では全般不安症に対してAWG療法(自費)を行っています。
