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まさかわたしが心不全? 「遺伝子検査でわかる 肥大型心筋症」(きょうの健康)

[2026.02.11]

心不全の中には、高血圧や動脈硬化などの明らかな原因がないにもかかわらず発症するケースもあります。

その一つが、肥大型心筋症です。

放置すると突然死の危険もあるので要注意です。

患者の半数以上に家族性の発症がみられることが明らかになり、現在は遺伝子検査で調べることも可能になっています。

以前は対症療法しかありませんでしたが、最近、心臓の過剰な収縮そのものを抑える薬が登場し、治療効果が期待されています。

肥大型心筋症とは

肥大型心筋症は、心臓の筋肉(心筋)が肥大して硬くなる病気で、国の指定難病になっています。

心臓の機能が低下し、全身に送り出す血液の量が減ることで、息切れや息苦しさなど心不全の症状が現れます。

肥大型心筋症の特徴は、多くの人が「軽症」または「無症状」であることです。

少しずつ進行するため、自覚症状が少なく、気づきにくいとされています。

難病指定を受けている人は約4400人ですが、推定患者数は20万人以上とみられています。

大部分の患者は無症状~軽症のまま経過しますが、一部の患者は、病気が進行して立ちくらみや失神などの症状が現れます。

突然死につながることもあるので、早期発見が重要です。

肥大型心筋症は長らく原因不明とされていましたが、近年研究が進み「遺伝子変異」が原因であることが分かってきました。

早期発見して適切な治療につなげるため、「遺伝子検査」を保険適用で受けることができます。

また、2025年には新しい薬が登場し、治療も大きく進歩しています。

遺伝子検査について

遺伝子検査とは?

肥大型心筋症は、心筋の収縮に関係するたんぱく質に遺伝子変異があると発症します。

肥大型心筋症はエコー検査や心電図検査で診断される場合もありますが、遺伝子検査でより確実に調べられるようになり、2022年からはこの検査を保険で受けられるようになりました。

遺伝子検査では、患者の血液を採取して遺伝子変異があるかどうかを調べます。

遺伝子検査の前後に専門家が遺伝カウンセリングを行って、検査結果を詳しく丁寧に説明したり、患者の不安を軽減したりする場合もあります。

遺伝子検査には、メリットデメリットがそれぞれあります。

遺伝子検査のメリット

家族のリスクがわかり、早期発見につながる

肥大型心筋症の遺伝子変異は、両親どちらかにあると50%の確率で子どもに遺伝します。

検査を受けた患者に遺伝子変異があれば、子どもなどの家族も将来、肥大型心筋症を発症する可能性があります。家族が経過観察の対象になれば、早期発見・早期治療につながります。

また、病気のリスクがないことがわかる場合もあります。

治療方針を立てやすい

遺伝子の種類によっては、経過の予測ができる場合があります。

遺伝子変異がある場合、心不全の症状が強く、病気が重くなりやすいことがわかっています。

検査で予後の見通しが立ち、治療を計画しやすくなります。

遺伝子検査のデメリット

心理的負担

遺伝情報を知ることによって、本人や家族が強い不安やストレスを感じる可能性があります。

医師の説明やカウンセリングで不安を軽減できる場合もありますが、「そもそも遺伝子検査を受けない」という選択肢を含め、よく検討することが大切です。

肥大型心筋症の治療

肥大型心筋症の治療 新薬も登場

無症状の場合

進行して症状が出る場合に備えて、定期検診でエコー検査や心電図検査を実施し、経過観察を行います。

20歳前後は病気の進行が少し早くなることがあるので、1年~1年半に1回。

成人では少なくとも5年に1回の検査が推奨されています。

症状が出ている場合

薬で心臓の負担を減らしたり、手術で心筋の肥大を取り除いたりすることがあります。

これまでは対症療法しかありませんでしたが、2025年に新しい薬「マバカムテン」が登場しました。

「マバカムテン」は、肥大した心筋に直接作用します。その作用について説明します。

心筋は「筋原線維」が集まってできています。筋原線維には「アクチン」と「ミオシン」という2種類の線維があり、この2つがつながったり離れたりを繰り返すことで、筋肉が収縮します。

肥大型心筋症の患者さんは、遺伝子変異などによって、アクチンとミオシンが強固に結びついていて、その結果、心筋の収縮力が強くなりすぎています。

そのため、ちょうど“筋トレ”をして筋肉が大きく・硬くなるのと同じように、心筋が肥大してしまうのです。

マバカムテンを服用すると、アクチンとミオシンの結びつきが弱められ、過剰な収縮が抑えられます。

このため、服用した人の中には、心筋の肥大自体が改善した人もいます。

また、息切れが無くなるなど、自覚症状の大きな改善効果がみられた、という報告もあります。

専門医からのメッセージ

肥大型心筋症は、推定患者数が多いにもかかわらず、認知度が低い病気です。

診断を受けた人の中には、学校や会社の心電図検査がきっかけで受診された人もいらっしゃいます。

健康診断で指摘を受けた人、家族に肥大型心筋症の患者さんがいる人は、ぜひ循環器内科を受診し、正確な診断を受けてほしいと思います。

診断を受け、良い治療に結び付けば、良好な経過をたどる時代を迎えました。

この番組が、肥大型心筋症を知り、「もしかして?」と気づくきっかけになれば幸いです。

当院での対応

当院ではAWG療法(自費)を行っています。

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