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がんに備える 最新情報 「がんの遺伝子検査 診断・治療のヒントに」(きょうの健康)

[2026.09.08]

同じ臓器のがんでも、がん細胞が持つ遺伝子変異はさまざまであり、変異のしかたによって有効な薬が異なります。近年のがん治療では、がんの遺伝子変異を調べて適した薬を選択する手法が主流となりつつあります。さらに、標準治療で十分な効果が得られない場合に、数十から数百種類のがん遺伝子を一度に調べて使える薬を探す検査も行われるようになりました。最新の研究では、早い段階で遺伝子検査を行うことで治療の機会が広がることが明らかになっています。

がん治療のカギとなる遺伝子検査

がんの診断と治療において、それぞれの患者さんのがん細胞が持つ遺伝子を検査することが大きな役割を果たしています。

がん細胞は、正常な細胞の遺伝子に変異が起こり、増殖が止まらなくなることで発生します。正常な細胞のさまざまな遺伝子に多様な変異が生じるため、同じ部位のがんであっても状態は一人ひとり異なります。

近年の医療現場では、がん細胞が持つ異常な分子を標的に攻撃する分子標的薬をはじめ、新しいタイプの治療薬が次々に登場しています。しかし、どの遺伝子に変異があるかによって薬の効きやすさが異なるため、治療を始める前に遺伝子検査を行い、患者さんに適した有効な薬を選択することが重要となります。

がんの遺伝子検査における2つの方法

保険診療として医師の判断により行われるがんの遺伝子検査には、主に以下の2種類があります。

がん遺伝子検査 特定の遺伝子1〜数種類をピンポイントで調べる検査
がん遺伝子パネル検査 数十〜数百種類の遺伝子変異を網羅的に一度で調べる検査

特定の遺伝子を調べるがん遺伝子検査

特定の遺伝子をピンポイントで調べるがん遺伝子検査は、肺がん、乳がん、大腸がんなどの標準治療を選択するために広く実施されています。標準治療とは、科学的根拠に基づき現時点で推奨されている最良の保険診療です。

肺がんにおける遺伝子検査と薬剤選択

肺がんは、遺伝子検査が最も進んでいるがんの一つです。発症に関わる代表的な遺伝子変異と対応する治療薬には以下のようなものがあります。

  • EGFR、KRAS、ALKなどの遺伝子変異に応じた分子標的薬(例:EGFR変異に対するEGFR阻害薬)
  • PD-L1というたんぱく質の量に応じた免疫チェックポイント阻害薬

肺癌診療ガイドライン2025年版においても、標準治療として分子標的薬の効果を見極めるための9つの遺伝子検査や、PD-L1検査の実施が推奨されています。

乳がんやその他の臓器における治療薬の広がり

乳がんでは、細胞の表面にHER2(ハーツー)というたんぱく質が過剰に増えるタイプ(HER2陽性乳がん)に対して、トラスツズマブ デルクステカンなどの分子標的薬が使用されます。この薬剤を使用する際には必ず事前の遺伝子検査が行われます。

HER2陽性の特徴は乳がんだけでなく、胃がん、大腸がん、卵巣がんなど他のがん種でも見られることがあります。血液がんを除き、異なる臓器のがんであってもHER2陽性であれば同薬剤の効果が期待できることが分かってきました。現代のがん医療は、臓器別ではなく遺伝子変異に基づいて薬を選ぶ時代へと進歩しています。

がん遺伝子パネル検査の特徴と現状

がん遺伝子パネル検査は、遺伝子解析技術の進歩により実現した検査法です。多くの遺伝子を網羅的に調べることで、がんの特徴を把握し、臨床試験中の新薬も含めた治療の選択肢を探ります。

がん遺伝子パネル検査の役割と適応

  • 固形がん:標準治療を終了した、あるいは終了が見込まれる進行がん患者さんに対する次の治療選択肢の探索
  • 血液がん:100種類以上ある病型を正確に鑑別するための診断根拠としての活用

検査結果は専門医で構成される委員会(エキスパートパネル)によって詳細に分析され、推奨される治療法が主治医を通じて患者さんに提案されます。

検査の実績と受けられる医療機関

検査を受けても必ず適した薬が見つかるわけではなく、変異が見つかっても使用できる薬がない場合もあります。実績データでは、検査を受けた方のうち推奨薬が提示された割合は約4割、実際に推奨薬による治療へ進めた割合は7.6%となっています(出典:第13回がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議 資料)。

固形がんは2019年から、血液がんは2025年から保険診療の対象となっており、国が指定するがんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院(全国約300施設)で検査が可能です。検査の適応については、ご自身の病状を踏まえて主治医にご相談ください。

がんゲノム情報管理センター 医療機関一覧(外部リンク)

がん遺伝子パネル検査を早期に実施する意義

従来、がん遺伝子パネル検査は標準治療を終えた後の段階で行われることが多く、患者さんの体力低下により新たな治療へ移行しにくいという課題がありました。

これに対し、手術が困難な進行がん患者さんを対象に、標準治療を開始する前の早期段階で遺伝子パネル検査を実施する研究(京都大学グループ)が行われました。

推奨薬が見つかった割合 標準治療後(約4割)に対し、早期実施では約6割に上昇
実際に治療へ進めた割合 標準治療後(7.6%)に対し、早期実施では27%に増加
予後への影響 推奨薬で治療できた場合、推奨薬がない群と比べ3年後の死亡リスクが4割減少

海外では早期から網羅的な遺伝子検査を行い、適切な薬を選択する手法が普及しています。日本においても、より早い段階でがん遺伝子パネル検査が活用され、治療の選択肢が広がる環境の整備が期待されています。

当院での治療

当院では、がんに対してAWG療法(自費)を行っています。

AWG療法

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