あの人の健康法 「難病でもぶれずに 前を向く」(きょうの健康)
中日、西武、阪神と3球団で活躍した元プロ野球選手の田尾安志さん。楽天の初代監督も務め、退任後は野球解説者としても活動中だが、2022年68歳のとき「心アミロイドーシス」という心臓の難病と診断された。現在薬の治療を続けながら闘病中だ。野球人生で培った「逆境に負けない」精神で日々楽しく過ごしているという田尾さん。この病気の啓発活動も自分の新しい使命と感じているという。病気との向き合い方をうかがう。
心アミロイドーシスとは
元プロ野球選手・監督の田尾安志さんが患う心アミロイドーシスについて、その診断、症状、治療、そして田尾さんの病気との向き合い方について解説します。
しびれから始まった心アミロイドーシスの診断
中日ドラゴンズ、西武ライオンズ、阪神タイガースと3つのプロ野球球団で外野手として活躍した田尾安志さん。選手時代から定期的に血液検査を受けるなど、健康には気を遣って過ごしていました。
68歳だった2022年、左腕のしびれがしばらく続いたため、首に問題があるのではないかと考え、かかりつけ医を受診しました。しかし、原因がわからなかったため、大学病院で精密検査を受けました。すると、血液検査の結果を見た医師から、「この数値では、いますぐ車いすでもおかしくありません」と告げられました。心臓の機能を示す数値がよくなかったのです。その時点では動悸や息切れといった症状が強くなかったため、田尾さんは信じられない思いだったといいます。
その後、さまざまな検査を受け、最終的に「心アミロイドーシス」という難病であることが判明しました。
心アミロイドーシスとは?
心アミロイドーシスとは、「アミロイド」と呼ばれる異常なたんぱく質が心臓に沈着し、心不全などさまざまな機能障害を起こしてしまう病気で、指定難病の1つです。
主な症状は、息切れやむくみです。ただ、初期は手のしびれや脈の乱れなど、はっきりしない症状から始まるため、見逃されやすいのが特徴です。
国内で診断されている患者はおよそ2000人と推計されていますが、実際には診断されていない患者が多いと考えられています。
以前は、症状を和らげる対症療法が中心で、病気そのものの進行を止める治療は限られていました。最近、原因となるたんぱく質の働きを抑える薬が登場し、早期であれば病気の進行を抑えられるようになってきています。田尾さんも現在、薬の治療を続けながら病気をコントロールしています。
70代まで生きた幸せ 病気との向き合い方
「心アミロイドーシス」という病名を告げられたとき、田尾さんは特に動揺することなく受け止めることができました。それには「肉親を失った体験が大きく影響している」と田尾さんはいいます。
弟の吉兼さんは20代で亡くなり、母親の八千代さんは50代後半で亡くなりました。現在、田尾さんは72歳。「70代まで生きられてありがたいな」という気持ちが強かったことから、病名の告知にも冷静でいられたのです。また医師から「早期発見だったので、この病気が原因で亡くなることはないです」と言葉をかけてもらったことも、心の支えになっているといいます。
野球で培ったことも、病気との向き合い方に大きく影響しています。高校時代、弱いチームで野球をしていたときも、その中でどうしようかと考えたり、創設したばかりで戦力の整わない楽天イーグルスを監督として率いたときも、試合の負けが続くなかで、チームとしてどうやってお客さんに喜んでもらえるのかを考えたり。野球人生において田尾さんは常に前向きに取り組むことに努めてきました。今回、病気が明らかになったとき、今度は「患者として何か社会貢献したい」という思いが自然にわいてきた、といいます。
病名公表 その想いとは?
田尾さんは、動画配信サービスの自らのチャンネルの中で、妻・宏子さんとともに病名を公表しました。
自分が病気を公表し、早期発見のための検診を呼びかけることが「誰かの命を救うことにつながるかもしれない」と考えたからです。すると公表後、検査を受けた身近な人のなかに、同じ病気の人が相次いで見つかりました。「公表してよかった」という思いがさらに強くなったといいます。
楽しみを大切にする 田尾さんの過ごし方
田尾さんは、現在は体調をみながら、さまざまなことにチャレンジして過ごしています。
予定のない日はロードバイクに乗ってサイクリング。自宅から7㎞先にある喫茶店までの距離を、往復します。帰宅後は野球の試合を観戦するのが定番です。試合は必ずスコアブックをつけながら観るそうで、スコアブックには、球種、コース、高さなどのデータもしっかり書き込みます。
妻の宏子さんと一緒にカラオケに出かけることもあります。
さらに、田尾さんには「釣り人」というもう一つの顔があります。モットーは 「おいしい魚を釣ること」。釣った魚は自分でさばき、真空パックして、妻の宏子さんの作った「田尾水産」というワッペンをつけて、知り合いにも贈っています。
好きなことを持ち続け、楽しみながら日々を過ごすことを心がけている田尾さん。そんな田尾さんの今の気持ちを表す言葉は、至所青山です。
「どんな環境であっても、一生懸命やれば楽しくできる」
田尾さんのメッセージです。
当院での対応
当院では難病に対して、AWG療法(自費)を行っています。
