「梅雨型熱中症に注意!今こそ“暑熱順化”を!」(きょうの健康)
気温が本格的に上がる前の梅雨の時期は、体が暑さに慣れていないため梅雨型熱中症への警戒が必要です。近年、6月の救急搬送者数は増加傾向にあり、適切な対策と生活習慣の見直しが求められています。
増加する梅雨型熱中症の現状と主な原因
近年、夏の気温上昇とともに、ジメジメとした梅雨の時期に発症する熱中症が注目されています。それほど高い気温でなくても、高い湿度によって発症するのが特徴で、一般に「梅雨型熱中症」と呼ばれています。
救急搬送者数のデータを見ると、2025年には統計開始以来、初めて10万人を超えました。月別では7月や8月が多いものの、ここ数年は6月の搬送人数が急増しています。最近5年間の6月の平均人数は、その前の5年間と比較して約2倍にまで膨れ上がっているのです。
この背景には、地球温暖化による6月の気温上昇に加え、湿度という大きなリスク要因があります。また、この時期はまだエアコンを使用する人が少なく、特に高齢者は体内の水分量が少ないことや、暑さを感じにくいといった特性があるため、より注意が必要です。
梅雨時期に熱中症のリスクが高まる理由
私たちの体は、体温が上昇すると汗をかき、その汗が蒸発する際の気化熱によって体温を調節しています。しかし、梅雨の時期は体がまだ発汗に慣れていないため、スムーズに体温を下げることができません。
さらに、湿度が高い環境ではかいた汗が蒸発しにくく、熱が体内にこもりやすくなります。その結果、気温がそれほど高くなくても体温が上昇し、熱中症を引き起こしてしまいます。
特に注意が必要な方と持病のリスク
屋外でスポーツをする方や外仕事に従事する方はもちろん、高齢者も厳重な警戒が必要です。また、二日酔いや寝不足などの体調不良時はリスクが数倍に跳ね上がると言われています。持病をお持ちの方も、以下の理由から注意が必要です。
| 対象・持病 | リスクの理由 |
|---|---|
| 心不全 | 水分制限を伴うことが多く、脱水状態に陥りやすいため。 |
| 糖尿病 | 血糖値が上昇すると、尿として大量の水分が失われるため。 |
| 精神疾患 | 抗うつ薬などの副作用により、汗をかきにくくなる場合があるため。 |
暑さに体を慣らす暑熱順化の進め方
熱中症対策として有効なのが、発汗能力を向上させて体温調節機能を高める暑熱順化(しょねつじゅんか)です。暑さに応じてスムーズに汗をかける体づくりを目指しましょう。
日常生活で取り入れやすい運動
まずは無理のない範囲で、生活の中に運動を取り入れることが大切です。階段を積極的に使ったり、少し遠くまで歩いて買い物に行ったりすることから始めましょう。
- ウォーキングやサイクリング:30分程度(週3〜5回)
- ジョギング:15分程度(週3〜5回)
- 筋トレやストレッチ:適宜継続する
入浴による体温調節トレーニング
湯船に浸かって汗をかくことも、暑熱順化には効果的です。40度以下のぬるめのお湯に10分程度、額に汗がにじむくらいまで浸かりましょう。頻度は2日に1回が目安です。入浴前後には、脱水予防のためコップ1杯の水分補給を忘れずに行ってください。
※高血圧や心不全などの持病がある方は、入浴方法や水分摂取量について必ず主治医に相談してください。
熱中症を防ぐための生活習慣
梅雨型熱中症を含め、日頃からの生活習慣が予防に直結します。特に意識していただきたいポイントをまとめました。
朝食の摂取と日々の健康チェック
就寝中から朝にかけて、私たちの体からは約500mlの水分が失われています。朝食をしっかりと摂ることで、不足した水分と塩分を補給しましょう。特に味噌汁は水分・塩分・アミノ酸を同時に摂取できるため、非常に効果的な熱中症対策となります。
また、以下の数値を毎日記録することで、体内の水分不足を客観的に把握できます。
| チェック項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| 体温 | 日々の平熱を把握し、体調の変化を察知する。 |
| 血圧・心拍数 | 血圧が下がり、心拍数が増えている場合は脱水の可能性がある。 |
| 体重 | 継続的に減少している場合は、水分不足を疑う。 |
適切なエアコンの使用基準
高齢の方は暑さを感じにくい傾向にあるため、感覚に頼らず温度計と湿度計を活用しましょう。居間や寝室に設置し、以下の基準を超えたら迷わずエアコンを使用してください。
- 室温:28度以上
- 湿度:60%以上
熱中症が疑われる時の応急処置 FIRE
もし熱中症が疑われる症状が出た場合は、自分で動けるうちに適切な処置を行うことが命を救う鍵となります。応急処置の基本であるFIREを実践しましょう。
-
F:Fluid(水分補給)
自分で飲める場合は、冷たい水分を補給して体内から冷やします。ただし、むせる場合や意識がはっきりしない場合は無理に飲ませず、医療機関を受診してください。 -
I:Ice(冷却)
凍らせたペットボトルを手に持つ、または濡れたタオルで首筋を冷やすのが効果的です。最近では体内から冷やすアイススラリーの活用も推奨されています。 -
R:Rest(安静)
涼しい環境へ移動し、衣服を緩めて安静にします。風通しを良くすることで汗の蒸発を促し、体温を下げやすくします。 -
E:Emergency(緊急搬送)
意識が朦朧としている、会話が成立しない、自力で水分が摂れないといった場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
当院での治療
当院では熱中症に対してAWG療法(自費)を行っています。
